2009年5月25日

「頑張って」が負担に犯罪被害者白書刊行

2009年版犯罪被害者白書を閣議決定した。4回目の刊行で、01年にひき逃げ殺人事件で兄を失った大阪府の伊藤裕美さん(29)の手記を掲載。伊藤さんは「頑張って両親を支えてあげて」という周囲の言葉が負担となり、感情を押し殺したり死を考えたりした体験をつづった上で、遺族の中でもきょうだいの心の傷は注目されにくく、ケアが必要と指摘している。
 「ご両親は大変だから、あなたが支えて」「お兄さんの分までしっかり生きて」。兄の裕一さんを亡くした後、裕美さんはそんな言葉を掛けられた。最初は素直に受け入れたが、何を頑張ればいいかは分からず、ひどく落ち込むことになった。
 幼い時からけんかもせず、なくてはならない存在だった兄。その兄の携帯電話やパソコン、カードの契約停止など、両親が分からない手続きをすべて引き受けたが、「そのたびに兄とこの世をつなぐ糸を切っていくようで恐ろしく感じた」。
 両親の悲しむ姿を見ているうちに「自分が代わりに死ねばよかったのでは」と、生きていることに罪悪感を覚え、家族の関係もぎくしゃくした。
 「両親を支えねば」「苦しみから逃れたい」という2つの感情で板挟みになり、感情を押し殺しては関係ないところで爆発させたことも。
 どん底から救ったのは友人たちだった。引っ越し手伝いや映画、コンサートへ、閉じこもっていた裕美さんを少しずつ誘い出してくれた。友人たちは、葬儀で真っ青になりながら笑顔だった裕美さんに接し、「特別扱いせず、事件ごと受け止めよう」と決めていた

犯罪被害者白書に手記。被害者も加害者も家族は大変です。

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